話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選
aninadoさまによる企画(下記リンク)に参加します。
https://aninado.com/archives/2021/11/28/864/
「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」ルール
- 2021年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
- 1作品につき上限1話。
- 順位は付けない。
- 集計対象は2021年中に公開されたものとします。
【はじめに】
あまり本数は視聴できなかったので迷いはありましたが、記憶に残ったエピソードをリストアップすると簡単に10本を超えたので、自身のささやかな視聴体験を振り返るためにも記事にすることにしました。
視聴当時の感想ツイートに総括の意味も込めて選考理由を追記しました。同じことを繰り返しているものもありますがご容赦ください。
『天地創造デザイン部』 案件5
実在の動物以上に架空の動物に対して強引に理屈を与えるパターンのほうがおもしろい。ケルベロスvs三頭ドラゴンというプロットは、まさにシリーズの真骨頂といえるもの。
『#天地創造デザイン部』5話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年3月9日
クライアントを地獄にしてのケルベロスvs三頭ドラゴンが見どころ。空想上の生物がことごとくボツになってきた過去エピソードが下敷きになって、テーマパークにかこつけて現実の生物のつくりを取り入れる逆転の発想。自由闊達なロマンが楽しい。
『ゆるキャン△ SEASON 2』 第7話「なでしこのソロキャン計画」
志摩リンの単独行に特有なリズムがここでも心地よい。シリーズの原点であり良心でもある。ぶっきらぼうで心配性な桜との信頼感そして連帯感がなでしこを後押しして見守る構図が温かく。
『#ゆるキャン△ SEASON 2』7話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年3月8日
リンの手慣れた単独行には特有の心地よいリズムがある。比してなでしこのそれはギクシャク感が初々しくてかわいらしい。桜とのエンカウントでリンのリズムが乱れた瞬間、なでしこのリズムが流れ込んだ気がした。3人の温かさが寒空に溶けていく尊さたるや。
『プレイタの傷』 #08「夜明け」
月夜に輝くアルテミス降臨から朝日に浮かぶ主人公たちの落差を表現するみごとなまでの映像美。光のエフェクトが演出意図とかみ合った心地よさに浸れる。
『#プレイタの傷』8話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年3月4日
ケルベロスの継承者誕生を祝福するかのようなアルテミス降臨が白眉だったのは確か。もっともそれ以上に、ヘリオスの3人が朝日の逆光のなかティターンに集うラストシーンが美しかった。夜を支配するアズサから特区の陽光を体現するヤマトへのバトンタッチに感じられて。
『のんのんびより のんすとっぷ』 十話「寒くなったりあたたかくなったりした」
軽く胸が締めつけられるような再会と別れのノスタルジーが格別。不思議ちゃんのようでいて好奇心旺盛かつ聡明なれんげの個性を白無垢の雪景色がいっそう鮮烈にみせる。
『#のんのんびより のんすとっぷ』10話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年3月19日
吹雪の中でのカオスな3人漫才から旧友とのセンチメンタルな交流へのギャップ。それでいて収まりよく感じられるのは、通底する雪景色の美しいトーンもさることながら、無邪気なようでいて聡明でもあるれんげの奥行きのあるキャラクター造形ゆえ。
『スーパーカブ』 第1話「ないないの女の子」
内陸部特有の穏やかに張りつめた空気を背景に、主人公の息づかいと機微が伝わってくるような“相棒”との出会いが何ともみずみずしい。このエバーグリーンな感覚は初回だけのもの。
『#スーパーカブ』1話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年4月10日
何もなかった日常が愛車との出会いによってみるみる色を帯びていく。きっかけが他者にうながされたものではない一念発起であるところがポイント。ガス欠における悪戦苦闘からの自己解決のかけがえのなさ。主人公の淡々とした表情や仕草ゆえにビビッドに伝わるものがある。
『ゾンビランドサガ リベンジ』 第五話「リトルパラッポ SAGA」
永遠の子役を宿命づけられた元気いっぱいの開き直りがライバルの“命”を際立たせる皮肉。第二次性徴すらも拒否した6号は性別をも超越しアイドルの概念を固定する。あっけらかんとしたパフォーマンスとは裏腹なほろ苦い視聴感覚。
『#ゾンビランドサガ リベンジ』5話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年5月7日
絶体絶命から開き直っての『リトルパラッポ』の弾けるような表現にくぎ付け。大人への階段を上っていくライバルに対して、子役としての永遠を宿命づけられたある種の哀愁、それをパワーに変換して視聴者に活力を与えるリリィに泣ける。フランシュシュの源泉。
『86-エイティシックス-』 Episode 06「最後まで Through to the End」
甘さに苦さを隠したチョコレートは共和国とエイティシックスの断絶のようでも彼女とスピアヘッド戦隊の関係性のようでもあり。前段としてアネットが振る舞ったケーキへのあいまいな反応があってこそ。甘いもの好きなレーナの揺らぎを繊細な演出が伝える。
『86-エイティシックス-』6話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年5月15日
レーナ周辺の描写が秀逸。こちら側のケーキとあちら側のチョコレート。甘いもの好きを通じて示される軸足。レイを介したシンとの共感がかろうじてつなぎとめる原点。縁談をあしらい続けるアネットとスピアヘッド戦隊の恋模様との対照にも重なる。 #エイティシックス
『Vivy -Fluorite Eye's Song-』 9話「Harmony of One’s Heart -私の使命、あなたの未来-」
- 脚本:梅原英司、長月達平 絵コンテ:久保雄介、エザキシンペイ、徳丸昌大 演出:平向智子、いとがしんたろー、久保雄介、エザキシンペイ 総作画監督:高橋裕一 作画監督:辻村歩、原修一、河本零王、福田裕樹、中原月、徳丸昌大
そもそもAIに二面性などありえるのか? いや、その奥行きがもたらす揺らぎこそ、不完全な人類が託した祈りではなかったのか。オフィーリアとアントニオの悲劇もさることながら、垣谷ユウゴの妄執がそう訴えているようだ。ロマンある解釈でもって心に刻んでおきたい。
『#Vivy -Fluorite Eye's Song-』9話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年5月23日
陽気なディーヴァがその称号と引き換えに残した示唆。人間のようなエゴに殉じたオフィーリアとアントニオ。自らを機械化してまで「心」に執着した垣谷。人間の少女が笑顔とともにくれた「ヴィヴィ」という呼称。あらゆるものが一直線上に並ぶ。 #ヴィヴィ
『#Vivy -Fluorite Eye's Song-』9話。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年5月23日
AI化した垣谷とディーヴァ/ヴィヴィ。松本博士の意思たるマツモトとオフィーリア/アントニオ。対置される戦闘が人間とAIの境界をあいまいにする。垣谷の抱くいら立ちが空気を揺さぶるような演出が圧巻。その本質を把握できないヴィヴィの哀愁。 #ヴィヴィ
『小林さんちのメイドラゴンS』 第5話「君と一緒に(まあ気が合えばですが)」
この2期では大活躍だったエルマの物語を推す。ミニマムにマキシマムに展開されるトールとの腐れ縁がユーモラスでチャーミング。ブレない食い意地による“調和”が破壊と奉仕の振幅という“混沌” をナビゲート。
『#小林さんちのメイドラゴンS』5話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年10月25日
かつて人間たちを導こうとしたエルマが人間を敵視していたトールを巻き込み、今は揃って小林さんに導かれている因果が面白い。それは駄菓子屋におけるイルルと人間たちの交流に自然とつながる。調和も混沌もまとめて面倒をみてしまう小林さんの器が際立つ。
『takt op.Destiny』 Chapter 8「運命-Cosette-」
タクトの半身だからこそ彼の苦痛を知覚できるが、同時にひとつの独立した人格でもあり。コゼットからかけ離れた無表情がコゼットの面影に近づくことで“運命”としての成長をみせる。初回ではピンボケ気味だったキャラクターに血肉を感じさせてくれた筆致がすばらしい。
『takt op.Destiny』8話みた。
— ダラパツ (@darapatsu) 2021年11月23日
さまよい続けていたタクトの情熱とすべてを受け入れようともがくアンナの祈り。両者が悲嘆と後悔を乗り越えコゼットの向こうに像を結んだ「運命」のたおやかさ。歩み寄りを促したのは顕在化し始めたコゼットの精神。あらゆる光景がひたすら尊く美しい。 #タクトオーパス
それぞれのエピソードを思い返すと今でも鮮明に場面がよみがえってくるものばかりです。私的につらく苦しい数年間でアニメを見ることすらおぼつきませんでしたが、今年は視聴できた作品に救われました。スタッフ・キャストのみなさまに敬意と感謝を。